東京高等裁判所 昭和31年(ラ)173号 決定
本件記録に徴すると、本件担保取消決定申立人大同帆布工業株式会社(以下申立人と称する)は抗告人に対して昭和二十九年三月八日保管を託した綿帆布九号六十反(代金五十七万円)の滅失により債権者が半金現金決済しあるために被つた損害金二十八万五千円の債権を保全するため、抗告人が第三債務者株式会社塩浦商店に対して有する商品売掛代債権のうち金十五万一千円について債権仮差押の申請を原裁判所に対して昭和二十九年四月二十六日になしたので原裁判所は保証金四万円を立てさせて該債権について仮差押決定をした。ところが申立人は本案事件たる東京地方裁判所昭和二十九年(ワ)第七四三五号損害賠償事件の原告勝訴の判決(主文は、被告(抗告人)は原告(申立人)に対して金二十八万五千円及びこれに対する昭和二十九年九月一日以降右完済に至るまで年六分の割合の金員を支払うべし)は昭和三十年十一月一日確定したので担保の事由は止んだものとして本件の担保取消決定の申立をした結果、原裁判所は担保の事由が止んだものとして本件担保取消決定をしたことが認められる。
ところで、本案事件において、担保取消決定申立人の勝訴の判決が確定したときは、担保の事由が止んだものとして担保取消決定をなし得るものと解すべきであつて、本件記録に徴すると、本件の本案事件において申立人勝訴の判決が確定したことが認められる。尤も抗告人は本案事件において抗告人はその責に帰すべからざる事由によつて不変期間が遵守できず控訴期間を経過したものとして、訴訟行為の追完を申し立てるとともに控訴の提起(当庁昭和三十年(ネ)第二一三五号事件)をなし、更に現に最高裁判所に同庁昭和三十一年(オ)第一六四号事件として係属中であると主張し本件記録に徴すると、最高裁判所に右事件が係属中であることが認められる。然しながら、追完は不変期間の不遵守によつて確定したと取扱われている裁判の効力を妨げないものと解すべきであるのみならず、抗告人がその責に帰すべからざる事由によつて不変期間を守れなかつたこと、その他、抗告人主張事実を疏明するに足る資料はないから、抗告人の主張は採用できない。
(浜田 仁井田 伊藤)